1949〜1959年の噴火活動記録

西暦
元号
月日
噴火記録(参考文献)
噴火活動
1949
昭和24
 9月

『9月5日17時頃この方面にかなり大きな地震がおこった。中央気象台の広野卓蔵の調査によると、震央は大体131°E、29.3°Nで深さは約10kmの地震であるが、震央から約125km離れた諏訪之瀬島では棚のものが落ちた所もあり、土地に亀裂が入った所もあったという。震度?程度と推定される。亀裂の入った所は元浦と東山の北麓を結んだ断層崖に沿うた弱線である。しかし、この地震のあと諏訪之瀬島で有感の地震はなかったという。屋久島測候所の地震計はこの地震について無感地震を10数箇記録している。さて、この地震と諏訪之瀬島火山の活動と関係があったどんな関係があったかはわからないが、島民の話によると、この地震の後に火山活動が再び猛烈になり、爆発音は部落までひびくようになったという。降灰もこの時を界として再び猛烈になってきたという。』(国立科学博物館報告)

地震
噴火
1952
昭和27
 8月

『…、噴火口から南南西約3.5kmはなれた部落に於て、次のような頻度で爆発音をきくことができた。(但し同年8月2日観測)8時00分、8時34分、9時33分、10時10分、14時30分、14時40分、14時41分、19時25分、21時20分、続いて10秒間位の中に3回、、22時25分。又8月3日作地の熔岩流を登って火口から約1.5kmの点に到り、中央火口丘を見上げた時は、爆発音がきかれ黒色或いは灰色の噴煙、又白い水蒸気のふきあがるのがみられた。』(国立科学博物館報告)

『諏訪之瀬島の爆発は平均すると2分に1回位の割合でおこるので、一つ一つに地震がきれている。これらの地震はよくしらべてみると、火口のある所でおこされるので、表面波のよく発達している波である。爆発の強さによって、地震の波は大きくなったり、小さくなったりするので、この波の大きさから、噴火の爆発のエネルギーを推定することができる。浅間山の大きな爆発は10の19乗エルグ位、1ヶ月に数10回もおこるような小規模な爆発は大体、10の14乗から10の16乗エルグということである。諏訪之瀬島の爆発の地震は私の観測したところでは10の11乗エルグから10の13乗エルグ程度のものでずいぶん小規模なものである。この程度のエネルギーであれば、噴火を連続的におこなっているといっても、1年で10の17乗エルグから10の19乗エルグていどにしかならず、浅間山の大きな爆発1つのエネルギーにようやく達する程度である。』(地震と火山)

噴火
1953
昭和28
10月
『昭和28年10月再び渡島した時は、部落で爆発音をきくことは非常に珍しくなり、14日滞在していて数回それに気がついたのみである。天候にめぐまれ、799m高地附近のカルデラ壁から火口の内を見下ろして観測することができたが弱いながら爆発音を発し、黒煙をふきあげ、火山灰を殆ど連続的に放出していた、しばらくの間(数分或いは1時間半も)噴煙を全くやめることもあったが、その時に火口内はすっかり晴れあがってよくみられた。このような休止の後の爆発は一般に大きく、赤く熱した火山弾を吹きあげ噴煙は所謂原始雲の型に成長し、空電現象をともなうのが普通であった。この雷の音はバリッと短い音で終りゴロゴロと長く余韻を引くものではない。このような大きな爆発に続いて活発な爆発が連続的に続き黒煙をふきあげた。しかし時間のたつにつれ個々の爆発が小さくなるにつれ煙は灰色になり、遂に噴火が全く弱くなると殆ど連続的に白色の煙(水蒸気の水滴になったもの)を多く出し、火口内は全く見えなくなってしまう。その内に、白い雲が晴れあがって小休止をしている火口内が見えるようになる。かくして次の爆発になる。大体の所このような経過をくりかえしていた。昭和27年の夏にはこの周期が大体の所30分であったが、同28年10月には周期性は不明瞭になった。要するに典型的なストロンボリ型噴火である。』(国立科学博物館報告) 噴火
1954
昭和29
 3月
『3月18日、噴煙が1000mの高さに上っているのを付近航行中の船舶が観測』(日本噴火誌) 噴火
1956
昭和31
11月
『11月17日から噴火を始め、活発なストロンボリ式噴火を続けた。爆発時には噴煙を時に数千mの高さにあげ、また火柱を時に400mの高さに揚げた。26日には爆発による空震が中之島でも感じられた。29日以後はこの活動がやや衰えた。』(日本噴火誌) 噴火
12月
『12月はときどき小爆発』(日本噴火誌) 噴火

<参考文献>
・日本噴火誌(1959):田中康裕・竹山一郎、気象庁
・地震と火山( 1955):村内必典、東洋図書

1953年10月21日噴火(村内撮影)
大森房吉以来の噴火地震観測(村内氏)

 

1957〜1959年の噴火活動記録 

西暦
元号
月日
噴火記録(参考文献)
噴火活動
1957
昭和32
 1月
『1月30日、小爆発。爆発音が山麓まで聞えた。』(日本噴火誌) 噴火
 2月
『全月にわたり、小爆発ひん発。島内ではしばしば空振・地動を感じた。』(日本噴火誌) 噴火
 3月
『31日、小爆発』(日本噴火誌) 噴火
 4月
『4、12、13日小爆発』(日本噴火誌) 噴火
10月
『21日以後6回小爆発』(日本噴火誌) 噴火
11月
『9回小爆発』(日本噴火誌) 噴火
12月
『19回小爆発』(日本噴火誌) 噴火
1958
昭和33

 1〜7月

10〜12月

『33年中は噴煙中乃至少量の日が月の中半数程度』(九州の火山噴火史)

『1月25回、2月22回、3月17回、4月8回、5月10回、6月19回、7月15回、10月13回、11月15回、12月31回』(日本噴火誌)

噴火
4月
17日(VOLCANOES OF JAPANESE ARCHIPELAGO) 噴火
1959
昭和34
 1月
『小爆発、中之島から火映観測』(日本噴火誌) 噴火
 2月
『夜間中之島から連日火映観測』(日本噴火誌) 火映現象
 3月
『時々爆発音が聞こえ、連日火映観測』(日本噴火誌) 噴火、火映現象
 4月
『時々小爆発、中之島から火映観測』(日本噴火誌) 噴火、火映現象
 5月
『連日火映観測』(日本噴火誌) 火映現象
 6月
『小爆発頻発』(日本噴火誌) 噴火
 7月
『中之島で2回爆発音を聞く。夜間は火映観測』(日本噴火誌) 噴火、火映現象
 8月
『小爆発頻発。夜間は火映観測』(日本噴火誌) 噴火、火映現象
 9月
『夜間に火映観測』(日本噴火誌) 火映現象
10月
『夜間に火映観測』(日本噴火誌) 火映現象
11月
『全月にわたり活動、中之島から夜間火映観測』(日本噴火誌) 噴火、火映現象
12月
『13日に爆発音聞え、夜間にはしばしば火映観測』(日本噴火誌) 噴火、火映現象

<参考文献>
・火山(1964):鹿児島県トカラ諸島諏訪之瀬島御岳火山の1960年活動について、松本播郎、9巻1号
・ VOLCANOES OF JAPANESE ARCHIPELAGO(1960):GEOLOGIGAL SURVEY OF JAPAN